長月、大衝弐拾九日






「今日でお前も16だな、アスラン。祝いだ、遊郭へ行ってみんか」





















華やかな京の街。
天皇陛下のお住まいになる御所を配し、玉なる町並み。昼には沢山の人が往きかう至上なる花の都。





そして夜には夜の「華」が有る。










娼館―夜な夜な高官から庶民まで「華」を求めてやってくる。
「華」は時に少女であったり異人であったり…少年であったり。



お偉方にとっては通う娼館のランクによってもステータスとなるモノで。



我が家も例外ではない。








―――ザラ家。公家でありながら武に力を入れ、将軍・ウズミにも一目を置かれる名家。


京都御所の目と鼻の先に邸を構え、その権力を窺わせている。













「遊郭…ですか?」


「そうだ。16にもなって娼を買ったことも無いなんてことはあまり良い印象ではない。
 判るな?」


「…はい」


「うむ。では夕刻に出掛ける。用意をしておけ」













****







―娼を買う、か…

俺は別に…






「坊ちゃま、着きましたよ」



「え?あ、あぁ…すまない」




御者の声にはっとして馬車を降り、橙色に染まった石畳へ足を着けた。








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