ブーツを鳴らし馬車から石畳へと降り立つ。 辺りは夕暮れに染まり、「此処」は店に灯りが点き始める。 「旦那様は半刻程後にご到着になられるそうですので、坊ちゃまには先に入っているように、と」 「父上が?そうか、じゃあ・・・・・・・」 建物へ視線を遣った瞬間、視界の端に映った ―銀の、光 まるで時が止まったかのように視線が動かせない 「…坊ちゃま?」 「!!あ…いや…何でも無い。じゃあ後で迎えを」 「はい、では後ほど」 深々と一礼をし、御者が馬車へ乗り込むとけたたましい音を起て走り去っていった。 急いで視線を元に戻す。 遠目にも眼が惹かれた、銀の光は既に無く。 橙色に染まった街、華やかな建物の陰に佇んで、残像だけを残して消えた。 ―錯覚…じゃないよな 錯覚で無いのなら店の者であることは明白だった。前へ 次へ
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