「何せ客を採るのは初めてですから、仕度に時間がかかるのもまた初々しいでしょう」



「ほう、初物か。アスランには玄人の方が良いと思ったが」



「いやいや、御子息はソレがお目当てでいらっしゃったそうですから」



「目当て?…初めてのくせに抜け目の無い奴だな」



「さすがパトリック様の御子息で。血は争えませんな」



「本当にな。はっはっはっはっ」


















華桜閣の主人と父の笑い声を聞きながら食事を進めていると、金箔のあしらわれた襖が摩擦音のみを立て開く。






『失礼します』




金髪に品の良い紬。少なくとも娼や下働きでは無さそうな青年が恭しく頭を下げていた。




「どうしたミゲル、旦那方がお食事中だぞ」




『御二方のお部屋の御用意が出来ましたので…』




青年が道を開け、廊下へ手を差し出す。




「おぉ、そうか。では旦那方、案内させますのでどうぞ」



だいぶ酒の入った父は機嫌よく部屋を後にしようと立ち上がる。



「ではアスラン、しっかりな」









「…はい」





























―幻でないことの証を、今夜この腕に抱く







この、迷いは何だ―?







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