「まだ…信じられない・・・・・」
「俺が?」
「違う、今・・・・・・が」
ゆっくりと肌と肌を合わせ、痛みすら伴いながら確かめ合った。
触れ合えば触れ合うほど
伝わってくる、想い
信じられないくらいに倖せで
間近で微笑うアスランの碧。
暗闇の中、やけにはっきりと見えて
吸い寄せられるように手を延ばせば温かな手が掴んでくれる。
そのまま柔らかな接吻を受け入れ目を閉じた
心地良いまどろみの中に感じるアスランの手の温かさは、感情と共に閉じた記憶を呼ぶ。
「眠い?」
口唇を離しても目を閉じたままのイザークにアスランが小さく問いかけた。
「手・・・・・・が」
「手?」
「…温かくて、・・・・・・想い出す」
「…何を、って…聞いても、いいかな」
「…ああ。」
アスランの言いたいことが何となく理解って静かに手を握り返した
「…懐かしいのは、家族?」
「小さな頃から母と二人だったから、夜はこうして寝床に入れてくれた。優しい、女だった」
「父君は?」
「…俺が物心付く頃には都で宮仕えをしていたから、顔も覚えていない」
「母君と二人、何処に?」
「吉野…都からの左遷役人くらいしか来ない田舎で…春には里総て桜に染まった。
俺の家の庭にも…掃除が大変だった」
伏せられた睫毛の奥の蒼牟にはまるで満開の桜が見えてるかのように声は倖せそうな色を含む。
「吉野の桜は俺も知ってる…まだ行ったことは無いけど…そっか、吉野か・・・・・でも、どうして・・・・・・?」
果たして訊いてもいいものなのか。
華街に居るもの全て、暗く辛い過去が有るのは当然なのに
気まずそうなのが顔に出ていたのだろう、イザークは俺に哀笑を向けて。
切なげに、繋いだ手に力がこもった
「…ずっと母と二人、あそこで静かに暮らしたいと思ってた。暮らしてゆけると」
「・・・・・・・」
「いつか都のお役目を終え帰って来た父の仕事を手伝いながら…」
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