「…元々は公家の出だったらしい」
「…え?」
「公家とは言っても都に邸を構えることもないくらい本当に末席だったからな」
「珍しくもない、か・・・・・・」
「…ああ。ずっと家で読み書きを学んで、十五の歳に、国司殿の処へ勤め始めた。
仕官として勤めて…丁度三月経った頃、」
「・・・・何か?」
「…都に居る父が、弑逆を企てた、と」
「な・・・・・・!!」
「勿論母も俺も信じなかった。その頃俺が補佐として仕えてた国司殿が色々と調べて下さって…
どうやら誰かの身代わりにされたようだ、と…」
「それは…」
「誰だかなんて判らない。判ってたのは…終わり、ということだけだった。
濡れ衣であろうと、未遂であろうと弑逆なんて大罪を犯せば…」
「…家屋財産の没収、親類縁者の追放・・・・・・そして」
「…勿論死罪に処された。親類は皆発覚と同時に縁を切ってきたから…
一夜の宿を求めて寺院から寺院を渡り歩く生活だった。
そして、母は・・・・・・・・入水した」
「!!!!!」
「俺を置いて…、
父の処刑された都を眼前に…」
心が弱い、などと責められる訳も無い。
夫を奪った忌まわしい都へ逝く間際向けたのは憎しみか、悲しみか。
ただ、どうして自分も共に連れて行ってくれなかったのか。
「それから・・・・・・・・気付いたら此処、に・・居た」
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