師走、春待月の週
瞼に透けて眸を包む柔らかな光。
燻った囲炉裏が室内を暖め、意識の覚醒を阻んだ。
隣に幾度も重ね合った身体が在るのを確認し、起こさないよう温かな寝床を抜け出せば
障子の向こうには昨夜の月夜が幻と思うほどの雪。
雪洸に僅かに目を細め、小さな雪洞が静かに積もってゆくのを見つめる。
淡い灯りが降り積もり
静寂を燈した。
深々、沁々と。
「…この莫迦」
「・・・・・・え?」
ばさ、と肩に布の感触。
振り返ると少し髪の乱れたイザークが腕組みをして立っていて。
「本っ当に莫迦だな、お前は。あと一刻もすれば雪像になるぞ」
徐に延ばされたイザークの手が頬に触れる。
その体温で漸く自分がどれだけ冷えていたのか今更ながら実感した。
「あんまり綺麗で静かだから、時間を忘れた」
「雪なんてこれからいくらでも降る」
「今日は特別綺麗に見えたんだよ」
「なんだ其れは。初雪だからか?」
「違うよ、イザークと見るのは初めてだから」
「…何だ、其れ・・・・・・」
ふいっと顔を背けても、揺れる銀糸に垣間見える耳は隠しようも無く紅い。
そんな様子に愛おしそうに微笑み
アスランは静かに障子を閉め、心地良い体温を奪いに掛かった。
注ぐ命 刻む羽根で
君よどうか
僕を包んで
希むだけの熱を捧げて
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