甘やかな、甘やかな時間 失うことへの怖れと募る想いは波の如く。 お前があたえてくれる体温も、寂しさもそれを勢い付かせるだけ。 「イザーク、どうした?ぼーっとして」 「少し…眠いだけだ」 「寝ちゃっていいよ?まだ月だって高い」 ほら、と促され細く開いた障子から見える漆黒の空にはぼやけた月。 半月より少し膨らんだ光は成る程、まだ下りかけと云ったところ。 「ね?だから寝ていいよ。寒くない?閉めてこようか?」 「いや…空気が心地良い…それに、月が見たい」 交わり、火照った身体には隙間から滑り込んでくる風の冷たさが丁度良く、更に瞼に重みをかける うつろう月に漠然とした不安を映しながら、意識を手放した。 繋がれた手がやけに遠く感じたのは まだ信じきれてない所為なのだろうか―? それとも―前へ
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