始まりは何処だったのだろう。
いつから歯車は噛合わないまま回り始めたのだろう。
食い違い、狂い、壊れた。
何時へ戻れば
何処から遣り直せば
如何すれば。
「…アスラン、お前には―…」
「何?」
「― 」
「え?」
「…何でも無い」
掠れた声が聞き取れず、もう一度、と思ったけれど
臥せた睫毛が切なげで、其れ以上は訊けなかった
彼の時の言葉は今も判らずに
「アスラン」
「ん?」
「…今、俺は倖せなんだと思う」
「うん」
「だから…吃度、だから不安に為ってる…だけなんだ」
「…うん」
「ひとつ…約束、してほしい」
「何を?」
「お前のことを信用してない訳じゃ、無い」
言葉ひとつひとつ、選ぶように定まらない視線が彼の不安を表していた。
「…だけど、俺の為に附いてくれる嘘だとしても、どうか…どんな些細なものでも嘘は附かないと」
「…俺が、イザークに嘘を附くと?」
「―お前は、優しいから」
「喩えイザークを疵つける事になったとしても、なんだね」
こくん、と頷くと同時に俯いたイザークは酷く頼りなげで、幼く見えた。
「其れならば、今約束する」
「…有難う」
「イザークが傍に居てくれるのなら」
「…ああ」
少年と少年の手が重なり、
何かを確かめ合うかのようにゆっくりと口唇が重なった。
確かめ合ったのは
存在か、
想いか、
現在か―
前へ 次へ