師走、暮古月の週 「月穂、ほら新しい着物だよ」 白い紙に包まれた其れを、世話係の姐さんが拡げた。 薄縹色の着物を俺に合わせながら、姐さんは満足そうに笑う。 「店主がねぇ、上客が付いた娼にだけ買ってくれたんだよ。うん、あんたの眸に合ってて綺麗だ」 「・・・・・・」 「今日は此れで店に出なよ。ザラの坊ちゃんに見せてやんな」 「・・・・・・・・・・。」 新しい着物を着たって どんなに待ったって アスランはもう― ガラッ!!! 「月穂!何をしてる!」 「…は?」 「もうお客様はお着きだぞ!はやく仕度をしないか!」 「きゃ、く…?」 だって。 だってあいつは。 「お前のお客と言ったら一人しか居ないだろうが!早くしろ!半刻以内だぞ!」 嬉しそうに着付けをしていく姐さんにされるがままに、俺はただ困惑した。 結婚するんだろ? だから来れなくなったんだろ? やっぱり一緒にはいられないんだろ? 所詮は解ってたオワリなんだろ? 「…お待たせ致しました」前へ 次へ
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